第4回 インターネット広告のモデル(3)

3. 新しいインターネット広告の種類

つぎは最近注目されている新しいインターネット広告の種類や媒体について見ていきましょう。

動画配信・インターネットCM

ADSL,FTTHの普及により、動画(映像や音声を使用)広告配信が増えています。GyaoやYahoo!動画に代表される動画配信サービスに挿入される広告モデルです。 広告配信の手法としては   1) 動画配信前にCMを表示(Gyao)   2) 動画配信後にCMを表示(REVER) があります。 Yahoo!Japanではメガバナーと呼ばれるFlashで作成された動画を配信しています。テレビCMと同様の動画やストーリー構成で数回に分けて配信する新しいタイプの動画配信も出てきているようです。

ユーチューブ社の広告戦略

米ユーチューブ社は「ブランドチャンネル」「参加型動画広告(Participatory Video Ads:PVA)」を広告戦略として展開しています。ブランドチャンネルとは、広告主が「ブランド」専門の広告チャンネルをYouTubeに開設・動画を公開できるというものです。 PVAは、ユーチューブのすべてのコミュニティに対応した動画広告を公開できます。視聴者は動画広告に対して、通常の動画と同じように共有、サイトへの動画の埋め込み、お気に入りへの登録を行うことができます。 これにより、ユーチューブ社は広告主にとっても視聴者にとっても受け入れられる広告プラットフォームを目指すとしています。

TV番組のインターネット配信

これまでTV番組のネットでの配信については複雑な著作権等の要因で普及には至っていません。しかし5月24日の日経新聞によると、日本政府が知的財産推進計画の最終案にTV番組をネットで配信するための新法を盛り込んだと報じられています。 TV番組がネットで配信する手続きが簡素化され、普及してくると、ネット広告市場はさらに成長していくと思われます。そうなるまでにはまだいくつかハードルがあるようですが、どうなるか注目です。

ブログ・SNS

広告媒体としてブログ・SNSが注目されています。ブログ・SNSは広告出稿場所として捉えると、数やスペースが新しい記事・話題・コミュニティの数分だけあると見ることができます。 広告の表示枠(出稿先)に限りがないといった点も魅力的です。 また、ブログ・SNSは興味のある人が閲覧しているわけですから、この時点である程度ターゲティングされている可能性が高いといえます。 したがって、一般的な広告枠へ出稿するよりも、広告効果が高いと思われます。 企業が独自にブログ・SNSサイトを構築する例も増えてきました。よく取り上げられる例としては日産自動車のTIDA BLOGがあります。 不動産系ではブログ・SNSサイトを構築して、生活に関連する情報サイトとして顧客とのコミュニケーションをとるためのツールとして活用している事例が増えてきています。 このような企業ブログ・SNSサイトは広告というよりも、顧客とのコミュニケーションツールとしての意味合いが強いのですが、マーケティングという観点では自社の広告媒体のひとつとして捉えることができるでしょう。

ウイキペディアも今後は広告を収益源としてサービスを拡大すると言われています。このようなWeb2.0的な集合知を生かしたウエブサイトやコミュニティは無限に広告枠を生み出す新たな出稿場所として考えることができます。

行動ターゲティング広告

利用者が閲覧したウエブサイトのページの履歴から趣味・嗜好を判断して、次回以降の訪問時に関心のある広告を表示する手法です。 どの広告を配信するのかを決定する要因は事業者やサービスの種類によって異なります。よく挙げられる例は、車に関連するサイトを閲覧した利用者に対しては再訪問時に車の広告を配信するという手法です。すでに実験・運用を開始しているYahoo!JapanやNECビッググローブ社によると、行動ターゲティング広告は一般のバナー広告と比べると1.2倍から4倍のクリック率が見込めるとのことです。 まだ始まったばかりで行動ターゲティング広告の手法はこれから色々なバリエーションが増えていくと思われます。

特長として、媒体側からすると在庫を売り切ることができる、広告主からみると利用者をターゲティングできる、利用者からみると嗜好にあった広告が表示されるので探しているものが合致する可能性がある、 といった点でこれから普及していく可能性が高いと思われます。

この特長は検索連動型やコンテンツ連動型と類似しており、今後は検索連動型、コンテンツ連動型、行動ターゲティング広告はお互いに機能を取り込みながらしながら大きく成長すると思われます。

ゲーム内広告

セカンドライフのような仮想空間内も新たに広告媒体の出稿先として対象になっていくと思われます。 大手企業からはじまっているようですが、仮想空間内に自社専用のスペースを開発(構築)して、ゲーム利用者とコミュニケーションをとる手法が実験されています。 仮想空間内は企業にとっては新しい広告媒体の出現とみなすことが出来るようです。 そして、仮想空間へ誘導するためのキャンペーンサイト、広告(バナー、リスティング)がさらに売れることになります。 また、ゲーム機のインターネット通信機能も進化してきています。Wii(ウィー)にはブラウザ機能(Opera)が搭載されています。ネットの通信端末としての可能性もありそうです。

アプリケーション内広告

これまでインターネットへのアクセス手段は主にブラウザ(携帯端末でもブラウザが動作している)でしたが、デスクトップ上で動作するアプリケーションがインターネット通信を介して動作する 「ガジェット」と呼ぶ小さいアプリケーション開発が盛んになってきています。 Adobe社は新しいアプリケーション実行・開発環境「Apollo」を発表しました。Apolloはクライアントベースのソフトウェアで、デスクトップ上でインターネット接続可能なFlashアプリケーションを動作させることができます。 これまでもサイドバー(ツールバー)に常駐するタイプのアプリケーションもありましたが、Windows VistaやApolloの登場もあって、ガジェット型のアプリケーションが普及するきざしがあります。 利用者にとってはわざわざブラウザを起動することなく(またはアプリケーション起動アイコンをクリックすることなく)、情報の取得ができます。 このアプリケーションの画面内(オーバーレイタイプも考えられます)に広告を配信する手法もこれから展開されそうです。

RSS広告

今ではほとんどのポータル・ニュースサイトではRSSを配信しています。RSS広告はRSS内に広告を埋め込んで表示させる広告です。RSSの記事内容と連動した広告を配信する点が特徴でRSSリーダーに表示するコンテンツ連動型広告ということもできるでしょう。 IE7の登場で期待されたRSSですが、まだこれからといった感があります。RSS自体はセマンティックウエブとあいまって、検索エンジンの用途を変える可能性を秘めているだけにこれからが期待されます。

iPod/iPhone

アップル社のiPodでは「ポッドキャスティング広告」を配信することができます。ポッドキャストの配信の仕組みはRSSをベースにしており、音声や画像を配信することができます。この機能を応用したのが「ポッドキャスティング広告」です。 アップル社は携帯端末にMac OS + iPodを搭載した「iPhone」を発表しており、そこから新しい広告の仕組みも生まれてくるかもしれません。