第16回 インターネット広告の今後(1)

インターネット広告の未来

2018年には「TV CMをインターネット広告が超える」そのような予想を打ち出している書籍・記事がでてきています。 確かに広告費においてインターネット広告はラジオ広告を抜き、拡大していますが、TV広告の2兆円強にはまだまだ及びません。 (第2回 : インターネット広告のモデル(1)参照) しかし、TV CM(広告)もインターネット広告も変化していく兆しがあります。 「インターネット広告とテクノロジーの今後」最終回はインターネット広告の未来を展望してみたいと思います。

インターネット広告の世代交代

ここまでの連載でインターネット広告の現状と新しい広告手法について考察してきました。 現在のインターネット広告の主なプラットフォームは

  • PC
  • 携帯端末

の2つです。 広告クリエィティブは従来のバナー広告からFlashを初めとするリッチ動画広告、ビデオ広告が広がりをみせ、検索連動型広告が大幅に伸びています。 広告の配信手法はこれまでは

  • ローテーション
  • 時間帯・曜日による配信

が多く利用されていましたが、検索連動型広告に代表されるコンテンツ連動型の配信手法が伸びてきています。さらに検索連動型広告はPCから携帯サイトへ広がりを見せています。 携帯キャリア各社が検索エンジンを採用したことにより、公式サイトから勝手サイトへトラフィックが移動してきており、モバイル広告市場が今後大きく伸びています。 また、2006年後半より行動ターゲティング広告が実用化され、2010年にかけて大きく伸びることが予想されています。 このようにインターネット広告の分野で「世代交代」が加速しています。 インターネット広告の配信先はこれまでは大手ポータル、メディアが中心でしたが、 最近はブログ、SNS、ゲームサイトが媒体としての価値を高めてきています。 一方で、これまで広告主だった企業も自社のウエブサイトやサービスを媒体化する 動きを見せています。 そして、インターネット広告はTV CMのGRP/視聴率よりも正確な効果測定が可能である特長を生かして、広告主企業の支持を高めています。

最近の動向

2006から2007年にかけて今後を占う傾向が出てきています。

通信インフラのIP化

周知のとおり、TVは2011年7月に地上デジタル化されることが決定しています。それに伴い、日本政府はデジタル放送のコピー緩和、IPマルチキャスト放送に関する法律の緩和を進めています。 日本全体では光ファイバーを利用してデジタルコンテンツがIPを利用して配信される土壌が整ってきています。 また、携帯電話の通信方式もIP化の方向へ進んでいます。このことはインターネット広告の対象プラットフォームが広がることを示しています。

TV視聴スタイルの変化

TV視聴は一家全員でリビングで見るというスタイルから個人の時間の都合に合わせて 見るという方向へ変化してきています。DVDの長期録画技術の進歩に伴って、自分の都合に合わせた時間・場所で視聴するスタイルが浸透していくでしょう。 これは時間枠ですべての視聴者に同一のTV CMを流す従来の広告手法と視聴者のスタイルがずれてくることを示しています。

新聞・紙媒体

既に米国の有力紙は電子版を無料で閲覧できるようになっています。この電子版の収益限もインターネット広告です。 日本の新聞・紙媒体各社の広告費は減少傾向にあります。もはや、従来の紙媒体のみで広告単価を上昇させることは難しくなっています。 日本でも雑誌各社はウエブサイトとの連動企画や通販企画を開始しており、今後の対応策を探っています。 紙媒体メディアはインターネットと連動する方向へと進んでいます。

端末の多様化

ワンセグ携帯2007年は2000万台出荷される見通しです。 すでにTVをいつでもどこでも視聴することは当たり前の時代になってきています。 また、携帯端末でのTV視聴は以下が異なります。 ・視聴の場所や時間がTVと違う ・TVでは昼間は主婦や高齢者だが、ワンセグでは昼休み中の会社員やOL ・画面の一部をデータ放送で広告として活用できる 上記の点を考慮するだけでも、従来のTV CMとは違う広告プラニングが要求されることは間違いありません。 TVコンテンツだから同じ広告手法ということではなく、生活者のライフスタイルに合った手法が要求されてきています。