第11回 インターネットとメディアの融合 – クロスメディア(3)

クロスメディアで広告の未来はどう変わるか?

クロスメディアで広告はどう変わっていくのでしょうか? テレビCMは崩壊したとか、費用対効果がわからないといわれていますが、連載第2回の「インターネット広告のモデル」で示したとおり、未だにテレビCMは日本の広告費の30%以上を占めています(インターネットは6%)。 生活者が信頼する情報源は1位は新聞、2位はテレビ、インターネットは第3位という調査結果もあるように新聞、テレビはまだまだ生活者の支持が高いのも事実です。 したがって、インターネットの登場で、テレビや新聞の媒体としての価値が下がっているわけではありません。 しかし、これまでの単一の媒体効果だけを狙った広告では生活者とコミュニケーションできなくなってきています。 この連載で何度が言及していますが、広告から生活者への片方向のコミュニケーションではなく、双方向のコミュニケーションを確立することが重要です。 つまり、生活者にとって、受動的な広告から能動的な広告への変化が求められるのではないでしょうか?

受動から能動的な広告へ

これからの広告は単一の媒体のみで完結するのではなく、各媒体全体で最適化するようにデザインすることが求められていくと思われます。 そして広告から誘導した後の生活者とのコミュニケーションはインターネットが重要な役割を果たしていくと思われます。

クロスメディアの課題

クロスメディアの課題は何でしょうか? ここでは以下の3つをあげてみたいと思います。

1) 目標設定

先に述べたように従来の広告では量の投下や視聴率といった指標が設けることが多かったと思われますが、 クロスメディア時代では、生活者とどれだけコミュニケーションできるかが目標になります。 誘導後の仕掛けとあわせて、数値目標を生活者を基準に定めることが必要です。

2) 誘導後の測定

ウエブへ誘導すれば測定は可能ですが、何を測定するのかをあらかじめ決めておくことが必要です。 ウエブサイトの場合、PV数が指標とされた時代がありましたが、生活者とのコミュニケーションを数値化するのであれば、 ユニークユーザ数や、リピートユーザ数、コンバージョン数や、ユーザステータス(購入者か非購入者か、会員か非会員か)を計測できるようにしておく必要があります。

また、生活者は広告に反応してすぐに行動を起こすとは限りません。 AISASモデルで示されているように検索エンジンや比較サイト、新聞、雑誌、電車内の中吊り広告で訴求され、興味や関心が高まり、 ウエブサイトを閲覧することが知られています。そのような生活者の行動を数値化する仕組みや、 誘導した後の生活者に対してターゲティングする手法が必要となります。

これまではウエブサイト内はログ解析を代表とする測定ツールでサイト誘導後を分析して、広告は広告専門の測定ツールがすみ分けて利用されてきましたが、今後はこれらを統合化した機能(ツール)とその結果を評価・分析できる人材が求められるでしょう。

3) 人材の育成

これからはクロスメディアを活用して総合的にキャンペーンをデザインする人材の育成が必要になってくると思われます。 広告に関しては広告会社(広告代理店)が企画・実行するのが当たり前の時代が続いていましたが、これからは企業自身や別の業態の会社が その企業のマーケティング全体を企画・実行(マネージメント)する時代になるかもしれません。

企業では宣伝部や、マーケティング部、顧客サポート、営業企画など部署が分かれており、インターネットの担当は広告宣伝部やマーケティング部が担当していることが多いと思いますが、今後は、広告と販売・顧客サポート活動を横断的に顧客とのコミュニケーションをマネージメントする人材の集まり(部署・チーム)が必要になるのではないでしょうか?

求められる企業の組織や人材

そして、それを支援するのが広告会社とは限りません。メソッドやテクノロジーを持った別の新しい形の企業か、いままでの広告代理の枠を越えて変化を遂げた次世代の広告会社なのかも知れません。

次回は「行動ターゲティング」について考察したいと思います。