第10回 インターネットとメディアの融合 – クロスメディア(2)

なぜクロスメディアなのか?

生活者のメディアとインターネット利用の関係を見てみましょう。

以下は日経広告研究所が2006年1月にインターネット利用者に対しての実施した調査結果です。

  • テレビ視聴とインターネットを同時に利用することがある → 21.4%
  • テレビCMの内容をインターネットで確認することがよくある → 10.1%
  • 新聞記事の内容をその場でインターネットで確認することがよくある → 9.0%
  • 新聞広告の内容をインターネットで確認することがよくある → 8.2%

上記に示されるように、テレビからインターネット、新聞からインターネットというように広告や商品・サービスの内容を複数のメディアを使って 生活者は確認していることがわかります。 したがって、テレビや新聞広告はインターネットへ誘導するためのゲートウエイの役目を果たしていると言えます。

このように、生活者の行動に対応するために、ひとつの媒体のみで広告活動を完結させるのでなく、 複数のメディアの組みあわせを最適化してマーケティング活動の効果を最大化することが重要であり、クロスメディアへの流れへつながっているといえます。

クロスメディアではウエブサイトをマーケッティングプラットフォームの基盤として広告活動を設計します。 なぜなら、ウエブサイトに誘導することによって、広告の効果を数字で把握することができるからです。

クロスメディアによりウエブサイトへ誘導

ここで重要なことはウエブサイトへ誘導することで

  • 各媒体媒体からの誘導効果を把握
  • 誘導した後の成果(会員登録や、資料請求、商品購入)
  • ウエブに誘導した後の見込み客の行動

が分かるということです。高度な測定機能を備えたシステムであれば、誘導後のサイト上での行動を把握することができます。 もちろん、そのためにはウエブの効果を測定できる仕組みが必要です。 (ウエブの効果測定については効果測定虎の巻をご参照ください)

これは今までの4マス媒体における広告活動ではわからなかったことです。 クロスメディアを活用することにより、消費者の反応や行動(意見)を把握することができるというのは大きな違いです。 したがって、クロスメディアではテレビはテレビだけ、新聞は新聞だけを考えた広告ではなく、インターネットを含めた全媒体を考慮した 広告戦略・デザインが必要になってきます。

クロスメディアでは

  • インターネットに誘導する仕掛け
  • 広告による「タッチポイント」「コンタクトポイント」を重視したプランニング
  • 誘導した後の仕掛け

がより重要になってきます。「タッチポイントプランニング」(「コンタクトポイントプランニング」)とは生活者の行動・購買に至るまでの適切な導線上に広告を配置する考え方です。

最近のテレビCMでは「つづきはWebで」「○○○○で検索」という形でウエブサイトの誘導を試みています。 広告誘導にマッチしたウエブサイトのデザインはもちろん、誘導した後のフォローも大事です。 誘導した後にいかに顧客に興味・関心を持ってもらうか?持ったことをどう数値化して評価するか?が重要です。

エンゲージメント

米国では広告効果の測定に「エンゲージメント」という概念を取り入れる流れがあるようです。 日本でも広告業界で「エンゲージメント」がキーワードとして浸透してきています。 「エンゲージメント」とは広告訴求がターゲットである生活者にどのくらい興味・関心を呼び起こしたかを重要視して数値化することだと言われています。 これまでは4マス媒体を中心とした広告投下量やテレビCMのGRPを過去の投下量や売上と対比させて予測・評価するモデルが 多かったと思われますが、クロスメディアの登場で生活者とどのくらいコミュニケーションできたかを評価の尺度としようという流れになってきています。

企業サイトのメディア化とクロスメディア

クロスメディアの考え方を進めていくと、誘導先である企業のウエブサイトもひとつのメディアであると捉えることが出来ます。自社のウエブサイトへ訪問した生活者はあらかじめ興味を持って訪問しているわけですから、非常にターゲティングしやすいと言えます。 これからのウエブサイトは会社概要や商品・サービス紹介だけではなく、生活者とのコミュニケーションをとるための基地として構築することが競合他社との大きな差別化の要素になると考えられます。