第1回 インターネット環境の変化

インターネット環境の変化

すでに2010年以降に向けての変化の下地はできてきているようです。キーポイントを挙げてみたいと思います。

ブロードバンドの進化

総務省の発表によれば2006年12月末のインターネット接続回線の内訳はFTTH(光ファイバー)が794万契約、DSLは1424万契約、ケーブルTVは357万契約で 2575万契約(前年比38パーセント増)となっています。 常時接続がもはや当たり前になり、Gyaoに代表される動画コンテンツサービスも普及してきています。  携帯もますます高速化・高画質へと進化していっています。

検索連動型広告の出現

アドワーズ、オーバーチュアに代表される検索連動型広告の出現がインターネットの広告ビジネスに変化をもたらしました。 最も、衝撃的なのは(理屈はシンプルなのですが)、「消費者の要求にマッチした広告を表示する」点です。 これまでの広告モデルは、広告主・媒体側からのメッセージ(プレゼンテーション)といった色合いが強く、消費者には選択の余地が ありませんでした。例えばポータルサイトにおいて、ローテーションでバナー広告が切り替わることはあっても、消費者の得たい情報や、 嗜好にあわせた広告の配信は実現できていませんでした。 また、広告を出稿する企業側からみると、広告の表示順位が価格だけではなく、キーワードやコンテンツの適合性で決定されるという方式であることから、莫大な広告費をかける ことができないが、魅力的な商品を持っていれば、効果的な広告を展開できるようになりました。 「検索する」 といった行動から 消費者の要求 を読むことができる、なおかつ「テキストリンクはクリック効果がある」ところにフォーカスを当てたところがポイントだと思います。

ユーチューブに代表される動画配信サービスの登場

投稿画像+検索といったモデルがビジネスの可能性があることを世界中に示しました(著作権の保護という影の部分はあります)。 米国では動画広告が2011年に 1500億を超す市場にあると予想する向きもあるようです。 ユーチューブの浸透した理由はそれまでの動画配信モデルと違って、ほとんどのブラウザがサポートしているFlash(Flash Vedeo形式)を採用した点もポイントではないかと思います。

iPodに代表される新情報端末の登場

米アップル社は4月9日、1億台目のiPodを販売したと発表しました。米国で販売される2007年モデルの自動車の70%以上がiPodに対応しているということです。 TVがネット化するか、PCがTV化(すでに実現されているが、あくまでPCとして販売されている)か、またはiPodのように新しいタイプの端末がこれからも世にででくるでしょう。 また、コンセントからネットにつながるアダプター(PLC: Power Line Communication)も実用化されてきています。

オープンソース

テクノロジーの観点から見ると、Linuxに代表されるオープンソースはインターネットビジネスに最も影響を与えたといっても過言ではありません。 ここでは3点挙げてみましょう。

新しいモデル

  • 特定の企業が独占する閉じた世界ではなく、ソースコードが公開され、バグフィックスや改良が有志の手によって行われる。 Wikipediaもプログラム開発ではありませんが、同じモデルであると言えるでしょう。

優れた技術が無償または安価に手に入る

  • ベンチャー企業にとって初期コストが低下し、優れたサービスを早期にリリースすることができるようになってきています。 しかも、技術レベルは高く、安定しています。日本でもほとんどのネット系企業はLAMP(Linux,Apache,MySQL,PHP)に代表されるオープンソフトを利用している事実があります。

優秀なコードが優秀な技術者を育てる

  • 優秀なコードや設計思想を学べることで、機会に恵まれなかった才能が育つ土壌が広がってきています。 コンピュータの世界、特に”創造的”なソフトウエアの設計や実装能力は個人の能力が大きい分野です。 一部の企業や研究所に従属していないと触れることのできなかった素晴らしいソースコードにアクセスできるということは新しい才能の出現を促進するでしょう。

IPネットワークの浸透

インターネットの通信は基本的にIPネットワークの上で成り立っています。 あらゆる端末がIPで相互通信できるようされることにより、サービスの連携・統合化が進むことが予想されます。 通信業界ではNGN(next generation network)がキーワードになっています。このNGNもIPがベースとなっています。 NGNを構想している事業者はこれまでばらばらだった、放送、固定端末、移動端末の通信インフラを統合して様々なサービスがIPを通じて 提供することを目指しています。

Web2.0に見る消費者参加型メディアの出現

社団法人日本広告主協会・WEB広告研究会によると(2007年2月のリリース)主なCGMサイトの訪問者数は2006年9月時点で、3529万人で、ページビューは前年の2倍。 インターネット全体(4380万人Active reach)に占める利用者数は80.5%に上る。またCGMの1人あたりの訪問頻度や平均利用時間は、企業サイトを超えており、利用者規模も超える勢いだそうです。

SNS、ブログに代表される消費者参加型のサービスにより、「ホームページを閲覧する:片方向のコミュニケーション」から「参加する:双方向のコミュニケーションへ」、 誰もが発信者であり、受信者であることができる社会になってきました。P2Pネットワークも双方向のコミュニケーションの新しいサービスを切り開くかも知れません。

インターネット広告の変化

前述のインターネットの変化は既存のマスメディアや広告会社、企業にも新しい変化を求めてきています。

実際にインターネット上のビジネスの収益源はつぎの3つです。

  1. 広告
  2. ECサイトに代表されるネット販売
  3. 利用料などの課金

 

電通総研の2007年4月の発表によると、2011年のインターネット広告費は全体で7558億円に成長する見込みだそうです。

広告はアメリカマーケティング協会によると、以下のように定義されています。

広告の定義(アメリカマーケティング協会による)

advertising - 「The placement of announcements and persuasive messages in time or space purchased  in any of the mass media by business firms,  nonprofit organizations, government agencies, and individuals  who seek to inform and/ or persuade members of a particular  target market or audience about their products, services, organizations, or ideas. 」

「特定のターゲットのマーケットまたはオーディエンスに対して製品、サービス、団体やアィディアを伝達・訴求するために 企業、非営利団体、政府期間、個人によってマスメディア内のいずれかに購入されたスペースに説得力のあるメッセージを 置くこと」

前に述べたようにこの定義は広告を出稿するまたは提供する媒体側の発想に立っています。

しかし、これまで述べてきたインターネットの変化は広告においても”片方向のコミュニケーション” から “双方向のコミュニケーションへ”を 求めていくように思われます。

これまでとこれからの広告モデル

今後は広告モデルのあり方も片方向ではなく双方向、「 視聴率 重視」から「 視聴者 重視」への変化を迫られているのはないでしょうか。

これまでとこれからの広告モデル

インターネット広告も、PC、携帯端末以外のデバイスへの広告表示や、ゲーム広告や、セカンドライフのような仮想空間への広告など 新しいモデルが出現、浸透していくと思われます。

次回は「インターネット広告のビジネスモデル」を考察してみたいと思います。