第12回 行動ターゲティングの今後の展望

行動ターゲティングの今後の展望

今回が「行動ターゲティング」と「LPO」の最終回です。 「行動ターゲティング」「LPO」「レコメンド」のこれからについて展望します。

今後の方向性

これからの展望として下記の3つの方向性をあげたいと思います。

【今後の方向性】 これからの方向性

デバイスの多様化

インターネットに接続できるデバイス(端末)は,PCだけでなく様々なデバイスから アクセスできるようになってきました。 インターネットのアプリケーション実行環境は米Appleの「iPhone」,Google社の「Android」のような スマートフォン、ゲーム端末など広がりを見せています。 他にガジェットに代表されるような新しいタイプのクライアントアプリケーションも増えていくことでしょう。

「いつでも、どこでも」はこれまではブラウザを通してのアクセスが主流でしたが、 これからはアプリケーションを「いつでも、どこでも、操作する」時代に入っていきます。 行動ターゲティングはこれらのデバイスやアプリケーションへ対応が広がっていくと思われます。

業務アプリケーションとの連携

ウエブアプリケーションを業務システムとつなげる事例が出てきています。 今後は行動ターゲティング、LPO、レコメンデーションシステムが業務アプリケーション と連携する事例が増えてくると思われます。 すでに一部の先進企業では行動ターゲティングやレコメンデーションシステムと メールシステムの連携をはじめています。

クラウドコンピューティング

システムはすべてが必ずしも自社保有のコンピュータセンターやデータセンターの サーバー内にある必要性はなく、ASP/SaaSのように外部に自社が利用するシステムの 置き、データを連携・連動させることが本格的に始まるでしょう。

行動ターゲティングの今後

【サイト内とサイト外の連携】 サイト内とサイト外の連携

現在の行動ターゲティングには行動ターゲティング広告に代表されるサイト外と 自社サイト内のターゲティングの2つの世界があります。 今後はサイト外のターゲティングデータを利用して、サイト内で利用する動きが出てくるでしょう。 例えば、広告の反応履歴から訪問者をセグメント化した情報を別のサイトへ誘導した後に渡して ウエブページに表示する内容を切り替えるなどです。

行動ターゲティングはPCで広まりつつあります。 今後はPCに加えて、携帯(モバイル)や他の端末でもさまざまなターゲティングが 広まるようになるでしょう。 モバイルではすでに行動ターゲティング広告が広がっています。 画面表示領域の狭い端末においてはサイト内行動ターゲティングが特に有効であると思われます。

現在の行動ターゲティングはPCの場合Cookieベースがほとんどですが、今後はCookieベースだけではなく、 顧客ID等を利用したより個に近い「パーソナルターゲティング」や 他の類似したユーザの行動を基にした「セグメントターゲティング」も広がると推測されます。

LPOの今後

【シンプルなLPOとハイブリッド型のLPO】 シンプルなLPO ハイブリッド型のLPO

LPOは広告のランディングページ改善が主目的とされているパターンが 多いのですが、今後は広告やキーワードに反応して表示を変化させる単純(シンプル)な LPOと行動ターゲティングやレコメンデーションとミックスしたハイブリッド型のLPO、 つまり行動履歴や予測を元にした行動ターゲティングとしてのLPOへ分岐していきそうです。

レコメンドの今後

現在はレコメンデーションはアマゾンに代表される 「この商品を買った人は以下の商品も買っています」 「この商品を見た人は以下の商品も見ています」 といったアイテム中心のレコメンデーションが主流です。 今後は単純なアイテムtoアイテムのレコメンドからより成果を 求めるレコメンドが求められていくでしょう。

行動ターゲティングを基にしたレコメンデーションが広がると推測されます。 属性や、訪問者の関心からセグメント化したり、コンテンツとアイテムの関係性からレコメンドする 仕組みが広がっていくと思います。

運用・管理の効率化・自動化

ターゲティング、レコメンデーションに使用する画像、キャッチコピー、リンク先 の管理・メンテナンスの効率化が進むでしょう。 できるだけ管理画面から人間が操作する作業が減っていく方向に向かっています。

データウエアハウス化

データウエアハウス化

今後は図のようなデータを連携した形の システムが構築されていくと予想されます。 それぞれのシステムはすべてが必ずしも自社の コンピュータセンターやデータセンターである 必要性はなく、最近話題の「クラウドコンピューティング」 のように、外部と緩やかに連携していくと思われます。

ここでいう緩やかとはAPIで規定された 連携の事を指し、プログラムロジックやハードウエア アーキテクチャにはお互いが依存しないことを指しています。

課題

今後に向けての課題をあげてみましょう

システム

インターネット系と基幹系システムは分断されているケースが多いと思われます。 これらのシステムが連動することにより、さらに行動ターゲティングを活用することができます。 そのためにはこの2つのシステムのデータをつなぐ(紐付ける)設計をしておくことが重要になります。

システムの連動性が実現しても、完全自動化ですべて進むのではなく、 重要な判断は人間が行います。 システムだけではなく、企業の組織や人もインターネット系と基幹系システムに 分かれているケースが多いようです。 今後はこれらを統括・横断する部門・組織・人間が必要ではないかと思われます。 企業も広告代理店も、システム構築を行うベンダーを含めて、双方向の 知識・経験・理解のある人(ネットとリアルの両方がわかる人材)を育てていく必要があります。

最後に

ここまでに取り上げたように、インターネットを基盤とした行動ターゲティングは様々な端末を 媒体として我々に生活に溶け込んでいくでしょう。 これからはインターネットと他メディアがボーダーレスになると思われます。 インターネットにつなぐためにはPCを立ち上げるか、 携帯でアクセスするのが今の主な手段ですが、 今後はTVを含む様々な端末・場所でつながっていくことでしょう。

今回の連載でご紹介した「行動ターゲティング」「LPO」「レコメンデーション」は 店舗で人が人に対応するのに近いことをコンピュータがインターネット(ブラウザ)を 通して実現する裏の仕組みです。

ただし、人間の出番がなくなるのではありません。むしろこの道具をどこでどう使うかの 人の知恵が必要になると思われます。

通信インフラの高速化、インターネット接続端末の拡大、サーバーの高速化・低価格化等に よって、ますます「OneToOneマーケティング」「CRM」「データウエアハウス」をインターネット上で実現する テクノロジー・仕組みである「行動ターゲティング」が広がっていくことでしょう。

「行動ターゲティング」が真価を発揮するのはまさにこれからなのです。