第1回 行動ターゲティングとは

行動ターゲティングとLPOとは

今回からは「行動ターゲティング」と「LPO」について連載を開始します。

この連載中では下記のトピックスを取り上げたいと思います。

  • 行動ターゲティングとは?
  • LPOとは?
  • 行動ターゲティングとLPOの仕組み
  • 行動ターゲティングの活用例
  • レコメンデーション
  • 行動ターゲティングテクノロジーの今後

インターネットはもはや、電気・水道と同じく我々の生活の一部になっています。 どのような業種・職種に従事されている人も、学生や公務員の人も自然にインターネットを利用・活用しています。 このインターネットの活用履歴を利用した技術の中で、今後発展が有望視されているのが「行動ターゲティング」です。 少しずつ浸透してきた感のある「行動ターゲティング」ですが、実際にどのようなテクノロジーが使われていて、どのように活用されているか?どのような活用方法があるかはあまり知られていません。 この連載では「行動ターゲティング」を通して、今後のインターネットのテクノロジーの根幹を支える(と予想される)仕組みと活用事例について考察していきます。

第1回は「行動ターゲティング」について考察します。

OneToOneマーケティング、CRM、データウエアハウス

皆さんは「OneToOneマーケティング」という言葉をご存知でしょうか? 「CRM(Customer Relation Marketing)」は知っている方は多いでしょう。 それでは 「データウエアハウス(Data Warehouse)」はどうでしょう?

これらの言葉の意味やシステムをご存知の方は「行動ターゲティング」の概念や技術は決して新しくはないことにすぐに気がつくことでしょう。 違いは顧客とのコミニケーションの手段として「インターネット」を利用しているか、いないかだけなのです。

データウエアハウスとは顧客の行動履歴を蓄積して、 蓄積(データの倉庫を構築)し、分析して、次の施策を行う仕組みのことです。

CRMは顧客データの蓄積から、顧客の特性を分析・把握して長期間に渡り、 顧客との良好な関係(Relation Ship)を築くことを目的としています。

「OneToOneマーケティング」とは顧客一人一人の嗜好や興味・関心をデータから分析して、 顧客毎に提案(オファー)することにより、顧客との継続的(Retention)して、 双方向(Interactive)する取り組みのことです。

「OneToOneマーケティング」「CRM」「データウエアハウス」は関連する仕組み・技術です。

【データウエアハウス】 データウエアハウス

「OneToOneマーケティング」の対極に「マス・マーケティング」があります。 「マス・マーケティング」とは顧客全体をマス(集合)として捉え、静的な属性・傾向(例:会員登録時の情報)からセグメント化(グルーピング)して、アプローチするマーケティング手法です。

「OneToOneマーケティング」「CRM」と「マスマーケティング」の大きな違いは「個」を中心としてアプローチするか「全体」からアプローチするかです。

インターネットにおけるOneToOneとCRM

インターネットにおけるマーケティングは黎明期である1980年後半から2000年頃までは 「マスマーケティング」が主な形態でした。 Webサイトは情報を一方向的に伝える形態(企業→生活者)が主流であり、すべての人に対して同じWebページを閲覧してもらい、同じコンテンツが常に表示されるのが普通でした。

一方、インターネットを新しいビジネスモデルを持ち込んだのがアマゾンドットコム社です。 Webサイトに「OneToOneマーケティング」「CRM」「データウエアハウス」の概念を取り入れ、インターネットにおける「レコメンデーション」モデルを確立させ、 競合との差別化を図り、大きく成長しました。

下記はアマゾンドッドコム社の代名詞とも言えるレコメンド機能です。

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なぜ、アマゾン社はインターネット上にCRM/OneToOneシステムを構築できたのでしょうか? それはビジネスモデルもさることながら、インターネットの「訪問者(お客様)のアクセスデータを記録できる」という特徴にいち早く目をつけたのがおおきな要因です。

店舗販売において、カリスマと呼ばれる店員はその記憶力と洞察力を駆使して、顧客(見込み顧客含む)の過去の購買履歴現在の表情・会話から薦める商品を決めています。

しかし、すべての店員が上記の能力があるわけではありません。 また、店舗を訪れたが、購入に至らない場合は売上データとしては記録されません。売上データに記録されるのはあくまで 「実際に購入した顧客のデータ」であり、「購入していない顧客(見込み顧客)」の訪問記録(いつ、誰が、何をきっかけとして)は コンピュータシステム上には記録はなかったのです。

インターネット(Webサイト)では購入に至らなかった訪問者のアクセスデータを記録することができます。購入データと 訪問者を結びつけることは技術的に可能です。 これにより、コンピュータに過去の訪問履歴・購入履歴を記録することのより、カリスマ店員でなくても、 顧客に合わせて、提案(レコメンデーション)することが可能になるのです。

【インターネットの特徴】 インターネットの特徴

では、なぜ他のWebサイトや企業がアマゾン社と同様の仕組みをつくることができない(つくろうとしない)のでしょう? それは同様のシステムを構築するのは巨額の費用がかかると思われていることが大きな要因だと思われます。 しかし、ハードウエア、ソフトウエア技術の進歩により、現在では大型コンピュータでなくても、高額なソフトウエアを購入しなくても、同様の仕組みが実現可能になっているのです。 今後、各企業(サービス事業者)でWebサイト(携帯サイト含む)で新しい取り組みが始まると思われます。

その新しい取り組みの代表的なものが、「OneToOneマーケティング」「CRM」「データウエアハウス」をインターネットを利用して活用するテクノロジー・仕組みである「行動ターゲティング」なのです。

行動ターゲティング

「マスマーケティング」のアプローチが顧客登録情報(属性)などの静的な情報に基づく「デモグラフィック」なターゲティングで あるのに対し、実際の訪問者の過去の行動や直前の行動でターゲティングするアプローチを「行動ターゲティング」と いいます。

「行動ターゲティング」は下記のように外部サイトと自社サイトでのアプローチがあります。

外部サイト(検索エンジンやポータルサイト、情報サイト、SNS、Blog)
アプローチ:
表示する広告やビジュアル(Flash/画像バナー)を訪問者に合わせて変更する。
活用例:
検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、行動ターゲティング広告、リターゲティング広告、エリアターゲティング(訪問者のアクセス元の地域でターゲティング)
自社サイト
アプローチ:
  訪問時に表示するWebコンテンツやキャッチコピーを訪問者に合わせて変更する。
活用例:
過去の行動履歴からレコメンドする商品を表示する。LPO(広告や検索エンジンからの流入情報にもとづいてターゲティング)、エリアターゲティング(訪問者のアクセス元の地域でターゲティング)、リターゲティング(再訪問時にターゲティング)、レコメンデーション(過去の閲覧・購入履歴にもとづいてターゲティング)

「行動ターゲティング」は広告サイト(媒体)側の「行動ターゲティング広告」と、 自社サイト内での「サイト内行動ターゲティング」の2つの形態があります。

行動ターゲティング広告

当初、インターネットでの広告はポータルサイトのバナー広告が中心でした。 バナー広告はいかに何人の訪問者に露出(インプレッション:表示回数)があるかで 評価され、何回表示するか(したか)で価格が決まっていました。 (訪問者の関心や興味とは関係なく、何回露出させるかが重要という考え方) つまり、テレビCMと同じリーチ重視(マスマーケティング)の広告モデルです。

一方、行動ターゲティング広告は訪問者の行動履歴を利用して、表示する広告を出し分けます。

日本では行動ターゲティング広告の事例としては下記のような例がよく取り上げられます。

【行動ターゲティング広告の例】 行動ターゲティング広告の例

あるポータルサイトで自動車関連のコンテンツを閲覧すると、自動車に興味がある人とみなして、 ある期間、その訪問者がポータルサイトおよび提携サイトを訪問すると自動車の広告が表示 される仕組みです。関心がある顧客に対して関連する広告を出すことで、クリック率を向上させることを目的としています。

Google社やOverture社の検索連動型広告、コンテンツ連動型広告も仕組みから言うと訪問者の直近の関心を利用した「行動ターゲティング」と言えます。 訪問者の検索キーワードに関連する広告または関連するコンテンツのサイトの広告が表示されますので、訪問者の関心や興味にあっていますので、広告がクリックされる確率が高くなります。

リターゲティング広告

顧客があるサイトを訪問して、離脱した後に別のサイトを訪問(または同じサイトを再訪問)した際にターゲティングする手法を「リターゲティング」と呼びます。

「リターゲティング広告」はサイトに訪問した後、ある期間その訪問者が媒体者が運営するサイトおよび提携サイトを訪問した際に顧客サイトへ誘導するための広告を表示する仕組みです。

【リターゲティング広告の例】 リターゲティング広告の例

サイト内行動ターゲティング

自社サイトを中心とした「行動ターゲティング」です。 Webサイトを訪問したユーザに対して、表示するコンテンツを出し分けます。 ターゲティングは現在の情報と過去の情報に基づいたターゲティングがあります。

LPO(流入情報に基づいてターゲティング)
広告や検索エンジン、エリア(IPアドレスから判別)からの流入情報に基づいてターゲティング
再訪問時に過去の閲覧・購入情報に基づいたリターゲティング
閲覧履歴、購買履歴、訪問回数、サイト内の進入度合

【サイト内行動ターゲティングの例】 サイト内行動ターゲティングの例

上記に加えて「サイト内行動ターゲティング」では会員登録情報(属性)を加えることにより、 「OneToOneマーケティング」「CRM」「データウエアハウス」のインターネット版を実現することができるのです。 これについてはこの連載中に詳しく解説する予定です。