第7回 集合知と暗黙知

集合知と暗黙知

レコメンドウエアハウス®の第7回です。 第7回は「集合知と暗黙知」です。

集合知とは

集合知(Collective Intelligence)とは「他から提供される大量の情報を寄せ集めて、活用すること」と言われています。

Web2.0という言葉の生みの親であるTim O’Reilly氏のWeb2.0の「7つの原則」に集合知に関する記述があります。 Web2.0とは(原文)はこちら

Web2.0はすでに過去のワードという感がありますが、「7つの原則」を改めて今読んでみると、現在のクラウドコンピューティング、ツイッター、新端末(iPhoneやkindle)を予見した内容となっています。

Web2.0 7つの原則

  • 集合知の活用:小さな情報をたくさん集め、新しい価値を付け加えてみんなに提供する

ここで集合知について、もうすこし説明すると、

知の集合みんなから発せられた情報を集めて、なんらかの加工をほどこし、新たな価値を生み出して提供すること

集合の知みんなの意見、議論から生まれた結論や、大勢の人によって手が入れられ、磨かれてきた言説を利用すること

多くの人々が情報を共有したり、議論したりしていく仮定でそれまでなかった新しい知や行動が生まれていったりします。 これが「集合知」と呼ばれる現象です。

例えば、あるコミュニティで誰かが「ミュージシャンAが好き」だと10人に伝えたとします。 話を受けた10人がそれぞれ別の10人に伝えると…10 x 10 x 10 x ….あっという間に何千人、何百万人に伝わっていきます 情報の伝達が繰り返されるとある時点で爆発的な情報量となります。これがインターネットによって、現実になったのです。

このように集合知の仕組み自体は難しくありません。 インターネットが登場する前から、群集心理や大衆行動についての研究が盛んに行われていました。 インターネットが普及して、この集合知をビジネスに応用できないかとなってきたのです。

暗黙知とは

暗黙知((Tacit Knowing)は、経験や勘に基づく知識のことで、言葉などで表現が難しいもののことを指します。 日本企業の製造業は、製造過程や技術において各々が有する経験・勘(感覚)等の「暗黙知」が代々受け継がれていく企業風土(企業文化)を 有しているとされています。このような暗黙知が自然と継承されていくことが強みとされていたわけです。 しかし、現代はこの暗黙知がインターネットや技術の進歩によって、見える形で「形式化」されるようになってきています。 このような形式化を進めるためには経験知を形にするための莫大な情報量(データ)を整理・統合化することが求められます。 暗黙知を形式化して、集合知へ進化させていくことが、企業にとっては他社との差別化・成長するための重要課題とされています。

集合知の活用

インターネットへおける集合知はどのように活用するべきなのでしょうか?

コンテンツ中心からユーザ中心へ

集合知を効果的に活用するためにはウエブサイトをコンテンツを中心にするのではなく、ユーザを中心とした設計で構築する必要があります。

コンテンツ中心のウエブサイトは(BtoB、BtoC、ブランディングサイトを問わず)、運営者側が見せたいコンテンツをよりよく見せることを中心に考えています。 コンテンツは静的で、誰がいつ訪問しても同じコンテンツを表示しています。集合知を活用するウエブサイトはユーザを中心に物事を考えます。 そのユーザの行動データと他人の行動データから得た知識を学習して、訪問者に合わせて、コンテンツを動的に変更して見せる努力を行います。

集合知を生かすウエブサイトの構成を以下に示します。

集合知を生かすウエブサイト

集合知を活用するためには、次の機能が必要です。

  • ユーザに行動してもらい、履歴を取得する
  • ユーザの行動から学習する
  • ユーザの行動履歴と学習からパーソナライズ(レコメンド)する

これらを実現するためには次の技術をウエブサイトに実装する必要があります。

ユーザ中心で設計されたウエブサイト

  • ユーザの行動を取得する仕組み(ログ収集、ブログ、掲示板、投稿等)
  • ユーザ行動分析機能
  • パーソナライズされたナビゲーション機能
  • クラスタリングと予測機能
  • レコメンデーション機能

そして、上記の機能はすべてユーザ中心で設計されていなければなりません。

どんなに強力なブランドを持っていても、どんなに強い商品を持っていても、常に同じコンテンツを見せればいいという時代は終わりました。 レコメンド機能も、もはやECサイトだけの機能ではありません。BtoBサイトでもブランドサイトでも コンテンツを中心としたウエブサイトからユーザ中心のウエブサイトへの転換が求められているのです。

Web2.0の次に来るものはWeb3.0?

Web3.0の中心となるモデルは人工知能でないかといわれています。既に大手検索エンジン会社や、ネット企業で研究・開発が進められているようです。そこでも人口知能のベースになる推論エンジンの元データは集合知になるのかも知れません。