小売ECの顧客可視化とEC接客による1to1に挑む

小売ECの顧客可視化とEC接客による1to1に挑む ~カメラのキタムラが挑む!オムニチャネル戦略と活用事例~

2016年4月20日(水)、株式会社キタムラより講師をお迎えし、「小売ECの顧客可視化とEC接客による1to1に挑む」をテーマにセミナーを開催しました。

キタムラの執行役員で経営企画 オムニチャネル(人間力EC)推進担当の逸見光次郎氏、EC事業部 販売促進リーダーの山田 周平氏の両氏より、カメラのキタムラが目指すオムニチャネルの未来像に加え、現場の声としてネットショップで取り組むマーケティングについて、お話しいただきました。

まずは逸見氏による「商品・サービス・接客」へのこだわりのお話から、セミナーはスタートしました。


商品・サービス・接客が大事!!!

知識・情報を生かしていかに顧客満足を高めるかは、店舗でもネットでも通販でも、基本は同じ。ネットの仕組みを作るのが大事なのではなく、商品・サービス、そして顧客満足を得る接客が大事なのです。

日本のEコマース進化とオムニチャネル化

ネット回線の高速化・スマホ普及で、ネット利用&ECは伸び続けています。そこで、お客さんとの接点がどう変わっているのかを見ていくべきです。オムニチャネルは、あらゆる顧客接点を持つこと。スマホの入口と商品価格・販促情報といった社内データの連携が重要であり、カスタマージャーニーをきれいに作っていくことが大事です。リアルとネットのデータを連携して、実際の施策に置き換えてPDCAを回すのもオムニチャネルだと私は思っています。

*その他、オムニチャネル注目企業(東急ハンズ・無印良品・すかいらーく・リンナイ・パルコ)の好事例を解説いただきました。

キタムラの事業概要とECの役割

キタムラは、様々なタイプの直営店舗900店を抱えた、創業81年の老舗企業です。カメラ・用品販売、スマホ販売・写真プリント製造・販売を行うカメラのキタムラ873店舗を筆頭に、5つの主要事業からなっています。実は、キタムラはオムニチャネルで成功していると言われていますが、利益はそれほど出ていません。プリント/写真用品は荒利がよいのですが苦戦しており、ビジネスモデル変革を進行中です。では、どう変わっていくのか?それには、ネットをうまく活用しています。

「月刊ネット販売」によると、キタムラ関与売上は430億円、ネット販売9位。EC事業の業績は価格競争からサービス・利益重視路線へと移行してきています。 知識・情報を生かしていかに顧客満足を高めるかは、店舗でもネットでも通販でも、基本は同じ。ネットの仕組みを作るのが大事なのではなく、商品・サービス、そして顧客満足を得る接客が大事なのです。

キタムラEC事業のKPI

宅配売上(EC)は119億円 から2015年度は目標140億円! そして、ネット関連で集客し、店舗で受取した売上は、311億円から340億円に! さらに、EC関与売上(ネットと店舗を足したもの)は430億円が480億円に!

ネット注文の店受取は、店舗では「朝来たら、売上が上がっている!」という状態に。この受注は年間で143億円と増えています。私たち事業部の最大の目的は「EC関与売上」の最大化です。

楽天・Yahoo!で買い物する人は、キタムラのECショップには来ません。それぞれのネットモールのポイント経済圏にいるからです。そこでそうしたネットモールのお客さまには店舗がある会社という認識を持ってもらい、店頭に立ち寄ってもらえればそれでいいと考えています。あえて価格競争にはのらずにいるため、売上としては落ちています。ただし宅配売上全体の利益率・利益額は上がっています。

またタブレットは、お客様が使うのでなく従業員が接客で使用します。専門知識がないから使っているのではなく、いかにお客様に理解してもらうかを考えて使っています。

全体最適を実現する組織とは?

キタムラのECは損益予算がある「事業部」ではあるものの、“キタムラのお客さま”に対して、本部と一緒に、店舗支援業務を第一としています。

キタムラ オムニチャネル・コンテンツマーケティング施策事例

店舗がブログを書き、新規顧客を集客する為のブログ研修を全国で行ったり、店舗がメルマガを書いてリピート集客をしたりします。より“個”に対する情報を、最寄りの“店舗”単位で送り届けて、”来店動機”を高めたいと考えています。

店頭タブレットの役割~接客強化と省力化~

お客さまが安心・納得できるよう接客の支援をする為に、店頭で従業員がタブレットを使っています。一か所に登録した商品データを使い、「ECとして店に送客する」ことを考えているので、コンテンツ作成から運営までEC事業部が実施しています。

■店頭での商品比較も分かりやすい

例えば、カメラを比較する際に口頭で言われるより、実際に画面で説明されたら納得感が違います。 どうやって使うか、誰が使うか、予算で検索し、価格安、高機能にハイライトがかかった分かりやすい画面となっています。専門店ならではの接客がITによって更に向上します。

■PCと同じデータがタブレットに

レコメンドや価格も出ているので、売上を作るものとして店舗がタブレットを利用しています。 キタムラでは商品の下取り・買取りも行っていて、新品を買ったお客様に中古をお薦めすることもあります。中古は荒利が高いので、タブレットは店舗の利益増をサポートする機能でもあるのです。

■店頭接客を再現した動画の集客

動画での商品紹介も自社で作成しています。目の前に店員がいて接客・説明しているかのような、店頭の接客を再現したビデオです。

EC施策のこれまでとこれから

店売上が増えれば、宅配も増えていきます。オムニチャネル化は常に全体最適の視点で考える必要があります。今後は更なる仕組化と”人間力×EC“の増強が必要で、「ファミリーLTV」×「客数」を店舗とネットで拡大していきます。

これからのECとその進め方

物販はオムニチャネルに成功しましたが、まだ半分です。残る半分、写真のオムニチャネル化を成功させるには、もっとマーケティングをやらなければいけません。会社全体のマーケティングは顧客満足を高めない限り、売上が上がらないのです。ではここからは現場の声を聞いていただきます。

ここで、現場でのマーケティングの声として、山田氏にバトンタッチしました。

ネットショップにおけるMarketing Cloudの活用事例

会社の使命は、すべてのお客様に新しい写真の楽しみ方を提供し、写真の文化を発展させていくことです。

キタムラはカメラ市場である程度のシェアを占めているので、文化の発展は大きな務めになっています。

EC業部の役割 - 店舗に来店してもらう為のEC

EC事業部は新横浜と高松に拠点があります。ECはインターネット上でカメラ等を販売して儲けることが主目的ではありません。品揃えを補う、接客にECツールを便利に使ってもらうという、店舗に来店してもらうためのECです。ネットは店舗の信用を利用し、店舗はネットを道具として使いWin-Winで成り立っているのがキタムラです。商品によっては全体の9割近くがECに関わる販売となっています。

マーケティングは禁句

今年からキタムラでは「マーケティング」というワードが解禁になりました。
マーケティングは、お金ばかりかかって目に見えず、成果(=売上)につながったのか分からない、それよりもチラシで店舗に集客するほうが儲かるという考えがありました。

そこで、全てのアウトプットを数字で表し、専門用語は使わず、成果(ゴリヤク)の実践を繰り返してきました。その結果、EC事業部売上実績は2009年50億円 から2014年:430億円になりました。 ツールに任せるのではなく、人間が介在して知恵を使ってECを使っていく「人間力EC」を実践する日々。

長年かけてマーケティングの必要性を上層部に説明し、ようやく今年マーケティングに本格的に取り組むことになり、ツール選定を始めました。

MAツールの選定について

選定ポイントは、MAツールは「道具」であり、道具を使いこなすカギはベンダー様との「二人三脚」で歩めるということでした。自社を正しく理解してもらえないと成果に繋がらない、また自社で知見をためていきたい。機能としてあれもこれもできるけど、今やりたいことができるか。そして人の手間が多くなると使われなくなってしまうので、本当にオートメーションか。さらにはシステムにあわせてツールの形をかえられるかが重要なポイントでした。

marketing cloud導入のゴリヤク

お客さまの「声なき声」が可視化できるようになった

受注データ・会員データ・Webアクセスデータはとれていたが、独立したデータを統合することでお客さまのご要望・行動が見えてきました。

お客さまが見えるとこんなに変わる

同じ商品なのにこんなに違いました。お薦めする商品も全く変わってきます。若者にはスマホケースのエヴァンゲリオンモデルをお薦めするなど、お店で当たり前にできていることが、ネットでもできるようになりました。

活用事例1 お客様とのエンゲージメントを高める取り組み

配信しているマス向けメールは5種類。パーソナルメールは3種類。

最大週に9本のメールがいくことになります。広告にお金をかけられない為、メールに頼っている現状です。DMPを活用しているメールは3種類です。きめ細かい条件を元にターゲットを抽出することがメールマーケティング成功のカギとなります。

活用事例2 ターゲットを抽出してのメール

配信しているマス向けメールは5種類。パーソナルメールは3種類。

アイテムのリマインドメールの実例をご紹介します。ターゲットを抽出した結果、ハイアマチュア向け商品を掲載し、お話し好きなので店舗も案内するなどコンテンツを作成しました。 すると高いクリック率を記録しました。

次の例は、ターゲット抽出により、クリック率・CV率ともに高かったのですが、年齢層が上の割にモバイル比率が高くなりました。これは、業者にもクーポンメールを配信していたことが原因でした。 失敗も色々ありますが、このようにDMPを活用してメール配信をしていくなかで、ターゲット抽出条件がキモになります。いかにしっかりと組み立てて、訴求したいお客様にアプローチできるかが重要です。

今現在の取組み

毎月3本以上のシナリオを作成して、実践しています。

キタムラが目指すマーケティング

商品・サービスごとに利用者の年齢層が違っており、小さなお子様からご年配の方までほぼ全ての年齢層にご利用いただいています。

KPIはFLTV(family life time value)

これからは家族のLTVを追っていきたいと思っています。子供写真スタジオマリオを起点として、お客さまのライフステージに合わせてタッチポイントを設け、キタムラのサービスをご利用いただくことで映像・記録・思い出を創り、そして守るインフラとなること。

今後ネット会員とTカード会員を統合し、会社としてのマーケティングをやっていきたいと考えています。今期から次のステージにいきたい。まずは散在するECサイトをmarketing cloud で統合し、ネットからキタムラのマーケティングを実現することを目指しています。

ツール導入時は、KPIを明確にしないと後々問題が出てくるので、要件定義ではわがままを聞いてもらい、一緒に悩んでもらえるかが大事です。初期費用・運営費をなるべく安くおさえておくことも必要です。 今は二人三脚でマーケティング活動を進めているところです。

講演:小売ECの顧客可視化とEC接客による1 to 1に挑む!

開催日:2016年4月20日(水) 14:30~16:10

場所:インターシティ会議室

http://shop.kitamura.jp/