顧客タイミング・ステータスに合わせたマーケティングとオートメーション
こんにちは。アクティブコア山田です。
顧客主導の時代を迎えた今、企業のマーケティングをどう進めていくかをテクノロジーとともに考えていくコラムの第7回です。
前回は「「B2C/EC 顧客タイミング・ステータスに合わせた事例」と題して
人材サイトとEC・通販サイトのカスタマージャーニーと事例を解説しました。
どの業種でも顧客タイミングに合わせたオファーが重要です。
今回は店舗とWebサイトにまたがった顧客行動を分析してオファーした
「オムニチャネル事例」をご紹介します。
図1:マルチチャネルとオムニチャネル
図1はマルチチャネルとオムニチャネルの違いを図にしています。
マルチチャネルは複数のチャネルを顧客によって使い分けます。
店舗は店舗、WebはWebでプロモーションをそれぞれで実施します。
従来はそれでもよかったのですが、スマホに代表される新しいデバイスの登場、
アプリの浸透によって、顧客はスマホで見て、店舗で確認、ネットで購入
またはネットで確認して、スマホやタブレットで購入といった複数のチャネルを横断するようになっています。
オムニチャネルは顧客が主体でスマホで見て、PCで買って、店頭で受け取って、コールセンターに問い合わせて、
メールで返答が来る一連の購買行動のどの部分がどのチャネルになっても
一貫した顧客体験を提供する仕組みのことです。
図2:米Macy’sの例
図3:カスタマージャーニー
図3にオムニチャネルのカスタマージャーニーのイメージを示します。
TVや広告で認知、その後はネットで検索・情報収集、店舗で購入した後もメールやコールセンターでフォロー、
アプリで顧客との接点を図り、リピート購入へつなげています。
ここでは店舗データとWebデータを統合したA社の事例をご紹介します。
A社は店舗とWebサイトで会員組織を持ち、会員IDを統合しています。
元々、店舗とWebサイトの会員は別組織でしたが、オムニチャネルに対応するために基幹システムを刷新して
会員IDを統合しました。
統合したデータはアクティブコアマーケティングクラウドへ投入し、会員の可視化・アクションへつなげる仕組みを構築しました。
図4:店舗とWebデータを統合
まず、直近1年の店舗とWebサイトの会員の利用状況を分析しました。
アクティブ会員を1年以内に購入(店舗、Webサイトのどちらでもよい)した会員と定義しました。
分析の結果を図5に示します。
図5:店舗とネットの会員利用状況を分析
店舗で購入経験のある会員は36%,Webサイトで購入経験のある会員は74.5%でした。
このうち、店舗とネットの両方で購入した経験のある会員は11.2%も存在することがわかりました。
つぎに店舗で購入した会員の行動を分析しました。
店舗で購入後、1ヶ月以内にWebサイトを訪問する会員は31.1%もありました。
Webサイト訪問後に1ヶ月以内にWebサイトでチェックした商品をWebでは購入をしないで、店舗で購入している会員が64.6%も存在することが判明しました。
図6:店舗で購入した会員の行動
図7:マルチデバイス分析
これまでの分析結果を鑑みて、A社はマイページ、TOPページ、ランディングページで顧客IDによってパーソナルレコメンドを表示することを決めました。
店舗で購入する会員には店舗情報を表示します。マルチデバイスユーザに対しては会員IDで閲覧履歴をデバイス跨ぎで統合し、レコメンドする仕組みを導入しました。
図8:TOPページでパーソナルレコメンド
導入後はお役立ち情報のクリック率が4.3倍、Web+店舗の購入履歴からのレコメンドのクリック率が4.8倍になりました。
クリック後の購入率は1ヶ月以内のWeb購入が18.3%、店舗での追加購入が26.3%と売上アップに繋がりました。
導入後はお役立ち情報のクリック率が4.3倍、Web+店舗の購入履歴からのレコメンドのクリック率が4.8倍になりました。 クリック後の購入率は1ヶ月以内のWeb購入が18.3%、店舗での追加購入が26.3%と売上アップに繋がりました。
今回は「オムニチャネル事例」についてお届けしました。
次回は「顧客タイミング・ステータスに合わせたマーケティングオートメーション」を解説します。