プライベートDMPを活用した広告配信の最適化

第三者データとしてのオーディエンスデータ

多くのユーザは、商品の購入を検討する際に、複数の商品掲載サイトから情報収集と比較検討を繰り返し、機能やデザインや価格について自分にベストな商品を選択する購買プロセスを辿ります。商品やサービスを提供する側に位置する広告主にとっては、文字通り選ばれる時代となったため、自社の商品やサービスをターゲット顧客層に的確にアプローチし、効果的な広告展開を行う必要があります。

異なるサイトやアドネットワークの無数の広告枠を管理するアドエクスチェンジや、DSP・SSP・RTBなどのアドテクノロジーの進化とともに、広告主と媒体の双方が収益性を最大化する仕組み(市場)も形成されつつあります。例えば、ユーザの行動履歴から他のサイト上でも関心度にマッチした広告配信を行う「行動ターゲティング」や、あるサイトにアクセスしたユーザに対して他のサイト上で訪問履歴があるサイトの広告配信を行う「リターゲティング」は、広告枠でなく、行動履歴データから「ユーザ」を絞りこむため、一定の効果を獲得することができる広告配信手法として幅広く利用されています。

さらに、Webサイトを訪問する「ユーザ」の行動履歴に加えて、デモグラフィック情報や興味関心・嗜好性や居住エリアなどの情報をもとに、「ユーザ」のライフスタイルやライフイベントのニーズをより詳細に把握した広告配信手法が可能になりつつあります。これには、自社サイト(オウンドメディア)以外のWebサイトを訪問する「ユーザ」の年齢・性別や家族構成や居住エリア情報と閲覧履歴情報が蓄積されたデータが利用されており、オーディエンスデータと言われています。

様々なWebサイトの閲覧履歴やデモグラフィック情報が蓄積されたオーディエンスデータは、それ自体が価値を持つ第三者データとして、媒体間で交換したり、広告主へ提供されたり、新規開拓だけでなく、見込客の獲得や離反・解約を抑止する新たな広告手法として注目されています。

プライベートDMPとオーディエンスデータ

第三者データとしての価値を持つオーディエンスデータに対して、プライベートDMPでは、自社の情報資産となる顧客データや購買履歴データを蓄積しています。自社データに第三者データを加味することで、例えば、新車情報のサイトやニュースを頻繁に閲覧している場合、ファッションや旅行を扱う他の情報サイトを閲覧しても、新車のキャンペーン広告が表示され、更に、カタログ請求済みで、他社メーカサイトの閲覧履歴があるユーザあれば、新車購入を検討している確率が高くなるため、試乗会や残価ローン・購入シミュレーションなど、購買意欲を掻き立てる広告配信がなされます。

つまり、自社が保有するキャンペーン応募履歴や購入履歴と、第三者データを連携させることで、「新規獲得」「既存顧客のロイヤル向上」「離反解約の抑止」など、ユーザインサイトを捉えたコミュニケーションを展開することができるようになります。

プライベートDMPとオーディエンスデータを活用することで、オウンドメディア施策と広告施策を区別した従来のマーケティングを見直すことができ、サイトに依存しない顧客中心の効果的なマーケティングを実施することも可能になります。

プライベートDMPを活用した広告配信の手順

オーディエンスデータと自社顧客データを連携させる方法としては、メールアドレスや顧客IDまたはcookieSyncを利用することが一般的ですが、セキュリティー観点から、cookieSyncによる連携方法を採用する企業が多いです。また、より多くのオーディエンスデータと自社顧客データを比較的短期間で紐づけることができる点も、cookieSyncが採用される理由として挙げられます。

データの紐づけが完了後、プライベートDMP内の顧客情報や購買履歴データから広告施策に応じたセグメントを作成します。ECサイトや通販サイトでよく使われる項目としては、性別・年代・購入頻度・購入金額・購入商品・併売商品・最終購入日からの経過日数・顧客クラスター等になります。Cookieに紐づくユーザIDと、上記のセグメント情報をセットにして、オーディエンスデータに統合され、Webサイトの閲覧履歴と顧客情報の関連付けが行われます。

セグメントの一例として、顧客ロイヤリティーのアップが施策の目的であれば、対象顧客向のメールで告知後、反応がない顧客やサイトから離脱した顧客に対して、外部のWebサイトでアップセル訴求の広告配信を行い、再度サイトへの誘導を図ることができます。反対に、自社メールを打っても一定期間の反応がない顧客に対しては、離反防止訴求の広告配信を行い、サイト誘導を図ります。また、定期購入ユーザで他社商品の閲覧履歴がある顧客に対しては、ボーナスポイント訴求による利用継続か、又は新たな商品のお試し訴求を行い、クロスセルを図ります。

訴求目的 広告配信シナリオ
既存顧客のロイヤルティー 初回購入後、3か月経過しても2回目購入に至っていない顧客や、利用中の商品と類似の他社商品を閲覧している顧客に対するアップセル・クロスセルの広告
離反解約抑止 一定期間レスポンス発生していない顧客や最終購入日から半年経過している顧客に対する離反抑止の広告
オーディエンス拡張 優良顧客のポートフォリオと類似又は関連性の高いオーディエンスを獲得する広告

マーケティング活動の基盤となるプライベートDMP

今後、益々激化すると思われる顧客獲得と顧客維持は、企業のマーケティング活動において大きな関心事となるでしょう。では、どのようにして的確かつ効率的に顧客とのコミュニケーションを構築・維持するのか?そのためには、オウンドメディア内外のデータはもちろん、ユーザが購買行動で発生する様々なデータを蓄積し、分析から導く新たな顧客セグメントやリピート顧客のポートフォリオを基に、最適なメディアとチャネルと使い分け、顧客のタイミングに合わせて、的確なメッセージを提供することが不可欠であることは明白です。

自社が保有する顧客データやその他の情報資産を管理するプライベートDMPを事業戦略に据えることで、顧客とのあらゆる接点(ウェブサイト、SNS、アプリ、広告媒体)を最適化し、顧客との関係性を築いて行くことが可能になります。

一方、オーディエンスデータを活用した広告配信コストは、通常の広告メニューよりも高く設定されているため、十分な成果を上げるには、広告予算もそれなりの金額となり、実施できる企業は、一部の企業に限られているのも事実です。

やるべきことは、自社が保有するデータを統合・整理し、先ず自社の顧客を可視化することからはじめ、組織横断で情報共有できる環境を構築することです。可視化ができたら、次は、顧客理解につながる価値のある第3者データを取り込み、更に顧客理解を深めることです。

皆さんも、自社の顧客について今一度見つめてみましょう。 解決の糸口は、常に身近な場所にあるものです。