第7回 SEO/SEMの効果測定(2)

SEM効果測定

検索連動型広告の評価は基本的には広告からの流入(広告クリック)とコンバージョンで行います。

SEMレポートサンプル

しかし、最近ではAISASモデルが示すように生活者は広告流入後にすぐにコンバージョンするとは限らず、他サイトで情報を比較したり、口コミを参考にしたりして 再訪問したコンバージョンする行動パターンが多くなっていることが実証されています。 また、オーバーチュア社の新プラットフォームがキーワードの出稿量から品質を重視する方向へ転換していることが示すように、キーワードとコンテンツの訴求がマッチするかどうかも重要なポイントになってきています。

コンバージョンまでの行動パターン

検索連動型広告の測定には 流入、コンバージョンに加えてつぎの指標が重要とされてきています。  ・キーワードとランディングページの適合性の検証  ・広告流入後の再訪問の把握  ・再訪問後のコンバージョンの把握

業種やウエブサイトの形態によってはコンバージョン数が少ない場合もあるでしょう。 一般的にはコンバージョン率は多くて数パーセントですので、その他の90パーセント強について、検討する必要があります。 直帰率が高いものや広告からの流入からのユーザの滞在時間、広告流入後のサイト内でのPV数が低いものについてランディングページの内容がキーワードと合っているか、確認します。 キーワードを含むコンテンツが画面内にあるかも合わせて検証しましょう。 (*) ただし、滞在時間はどの測定ツールを利用しても完全に正確ではありません。これについては次回以降で触れたいと思います。

オーバーチュア新プラットフォームについて

オーバーチュア社の検索連動型広告の仕様が変更されています。 これまでは入札金額に応じて掲載順位が決定されていたのが、入札金額 x 品質インデックス → 掲載順位へ変更されています。 (グーグル社のアドワーズは従来から入札金額だけではなく広告の品質 = クリック率を利用していたとされています)

オーバーチュア新プラットフォーム

品質インデックスとは?

品質インデックスとは検索されたキーワードと広告の関連性を、クリック率などをベースに判断する広告の品質を計る指標です。 オーバーチュア社によると以下の項目が品質インデックスを計算する要素となっています。

  1. クリック率
  2. キーワードとタイトル・説明文の適合性
  3. キーワードとリンク先コンテンツの適合性

例えば、「就職 横浜」と検索したユーザーに、横浜のエステサロンの広告が表示されたとします。 これは「横浜の就職情報」を探しているユーザーにとっては関心のない広告です。この広告は表示されても、クリックされる確率はかなり低いでしょう。 オーバーチュア社の新方式では、検索されたキーワードと広告の関連性を、クリック率などをベースに判断します。 表示されても広告がクリックされなければキーワードと「関連性が低い」とみなされ、「広告の品質が低い」と判断されます。 広告がクリックされれば、その広告が検索されたキーワードに対して「関連性が高い」ということになり、「広告の品質も高い」とみなされます。

広告の品質を上げるためには以下の点を考慮する必要があります。

  1. キーワードとタイトル・説明文の適合性を高める。
  2. 広告グループの再編成   広告グループ内にクリック率の低いキーワードがあると、その広告グループの広告すべての評価が低下します。このような場合はキーワードを削除するか、別の広告グループへ移動させます。クリック率(広告からの流入が少ない)が良くない広告は削除して、クリック率が良い広告だけを広告グループ内に残していくと品質インデックスが向上します。
  3. 広告テスト機能やウエブ効果測定ツールを活用して適合性を評価する

つまり、クリック率を高めること・コンテンツの適合性を高めることが、
  => 品質インデックスを高める
  => 掲載順位の向上
  => 流入数の向上
  => コンバージョン数の向上
へつながるわけです。

クリック率が向上した後も、すぐにユーザがサイトから離脱してはコンバージョンの向上は見込めません。 したがって、広告クリック後のランディングページのコンテンツがキーワードとのサービス名や商品名とキーワードが一致していることが重要となります。 この適合性を評価・検証する手法にLPOやA/Bテストがあります。

測定ツールでは以下の点を検証しましょう。

  • 1) 広告の流入数/率と直帰率とコンバージョン数/率
      → 広告とランディングページの適合性を評価します。
  • 2) 広告から流入してきた時のユーザのキーワード別の回数とコンバージョン数(率)
      → 広告とキーワードの適合性を評価します。

SEMレポートサンプル

SEMレポートサンプル

自然(オーガニック)検索と広告の比較

自然(オーガニック)検索と広告を流入・コンバージョンで比較してみましょう。 自然検索でコンバージョンを獲得できている(上位に表示されている)キーワードは広告に依存する必要はありません。 無駄な費用を発生させないようにどのキーワードが自社が強いか確認しておきましょう。

自然(オーガニック)検索と広告の比較

コンバージョン数が少ない場合の広告の評価

取り扱っているサービス・商品(高額な商品)やサイトの性格(情報提供が主)によってはコンバージョン数が多くならない場合があります。 この場合、コンバージョン数・率だけを指標とすると、ほとんどの広告が効果なしと判断することになってしまいます。 そこで、つぎの項目を指標に加えることを検討しましょう。

直帰率
直帰率が高い場合は、キーワードの適合性に問題があるか、ユーザビリティに問題があると考えられます。
進入度合(サイト内のPV数や滞在時間)
広告から流入した後、どのくらいサイト内のコンテンツを閲覧したかを評価項目とします。
再訪問数(リピーター)
広告から流入した後の再訪問(リピーター)をどれだけ獲得できたかを評価項目とします。

SEM効果を視覚化する

最近ではキーワードを1万件以上出稿することも珍しくありません。 広告の品質を向上させるためにはクリック率(広告からの流入が少ない)が良くない広告の削除やランディングページの改善を図る必要があります。 しかし、出稿数が数千以上になると把握が難しくなります。 以下のようなマトリクス図を作成すると、広告の効果検証が行いやすくなります。

SEMマトリクス

出稿広告を2つ以上の軸でグルーピングすることにより、改善の対象とするグループ、入れ替え対象とするグループに分けて広告出稿管理することができます。 コンバージョン数が少ないタイプのウエブサイトの場合、グルーピングを決める数値はコンバージョンだけではなく、直帰率や、リピーター獲得数(再訪問獲得数)でもいいでしょう。

SEM直帰率マトリクス

SEM効果の評価と対策

測定ツールで取得したデータを元に改善・対応策を検討します。後述するSEO対策とあわせて検討しましょう。

  1. 流入数(クリック)とコンバージョン(直接+間接)で効果を把握
  2. キーワードとランディングページの適合性を直帰率で検証
  3. 広告から流入時のユーザの入力キーワードと広告の適合性を検証
  4. 自然(オーガニック)検索と広告を比較して、SEOで対応できるものは出稿の有無を検討する
  5. 広告グループ内のキーワードの変更と出稿の新規・削除の検討

SEO効果測定

SEO効果測定では、検索エンジン・キーワード別の流入とコンバージョンが主なポイントとなります。 検索エンジンの表示順位で流入数は決まってきますので、対策前後の流入キーワード、順位の確認が必要です。

自社はどの検索エンジンからの流入が多いか?

自社はどの検索エンジンからの流入が多いかを確認しておきましょう。ac cruiser利用サイトの2007年6月の検索エンジン流入はヤフーが55%、Googleが34%、MSNが3%でした。 自社を訪問するユーザがどの検索エンジンを利用しているかを知ることは検索連動型広告の出稿にも関連しますので把握しておく必要があります。 ちなみにアクティブコアの場合の検索エンジンからの流入は85%はグーグルです。当社はアドワーズ、オーバーチュアに全く同じ広告を出稿していますが、 資料請求や問い合わせをいただいた場合はほとんどグーグルからの流入です。これはIT・ネット関係者がグーグルを利用している確率が高いことを示しています。 BtoCの場合や、業態によっては当社とまったく逆でオーバーチュア(ヤフー)からが流入・コンバージョン共多い傾向もあります。 必ず、自社の傾向を把握しておきましょう。

キーワードとコンバージョン

キーワード別のコンバージョンレポートを用意しましょう。 利用しているツールにキーワード流入した後の再訪問や間接コンバージョンをレポートする機能があれば、その数値を評価の参考にしましょう。

SEOサンプルレポート

ページ毎の流入キーワード

SEO対策を施した前後でページ毎の流入キーワードを調べておきましょう。 また、ページ毎の流入キーワードは広告出稿の際のキーワードを検討するデータとなります。 以下の図のようにページ毎の流入キーワードをまとめておくとよいでしょう。

ページ別の流入キーワード

検索エンジンの順位と他社との比較

自社の重点キーワードが検索エンジンで何位に表示されているか?また競合他社の順位はどうかはSEO対策において重要なポイントです。 ほとんどのユーザが検索エンジンのランキングの上位しか見ないことから、現在のSEO対策は流入効果のあるキーワードの順位をアップさせることといっても過言ではありません。 自分で検索してみるものいいですが、ランキングをレポートしてくれるツール(サービス)もありますので利用するのもいいでしょう。

SEOランクレポート

SEO効果の評価と対策

測定ツールで取得したデータを元に改善・対応策を検討します。SEO対策とともに検索連動型広告の対策もあわせて検討しましょう。

  1. 自社にとって重要な検索エンジン・キーワードを流入数・コンバージョンで把握
  2. 流入数が少ないが、コンバージョンが見込めるキーワードはSEO対策・検索連動型広告の出稿を検討
  3. ページ毎の流入キーワードでSEO対策の効果を確認する
  4. 自社にとって重要なキーワードの検索エンジン表示順位を把握する

第6,7回のまとめ

SEO/SEMの測定
第6,7回ではSEO/SEMの測定について説明しました。
事前に準備・確認する項目
1) 自然検索(オーガニック検索) と検索連動型広告を区別する
2) 検索連動型広告からの流入時にユーザが入力していたキーワードを取得する
3) SEO対策を施したページの流入キーワードを取得する
4) 検索連動型広告の出稿情報を測定ツールに定義する
5) コンバージョン測定の設定を確認する
6) 測定ツールで取得できる情報を確認しておく
SEMの測定
1) 流入・コンバージョン数(率)を測定する
2) ランディングページの適合性を測定する
3) 再訪問・間接効果を測定する
4) オーバーチュア社の品質インデックスを理解する
5) SEM効果を視覚化する
SEOの測定
1) どの検索エンジン・キーワードが多いかを把握する
2) 流入・コンバージョン数(率)を測定する
3) ページ毎の流入キーワードを測定する
4) 検索エンジンの順位と他社との比較を行う