第1回 顧客の瞬間を捉えるマーケティング

はじめまして。アクティブコア山田です。

デバイスやテクノロジーの進化によって顧客接点が多岐に渡る現在、顧客の行動データの取得範囲が数年前に比べると大幅に増えています。

ビッグデータ、DMPやマーケティングオートメーション、AIといったテクノロジーが登場し、普及期を迎えていますが、一番の大きな変化は企業主導のマーケティングから顧客が企業を選択する時代、顧客主導のマーケティングが必要とされてきていることではないでしょうか?

この連載では顧客主導の時代を迎えた今、企業のマーケティングをどう進めていくかをテクノロジーとともに考えていきたいと思います。

第1回は顧客の瞬間を捉えるマーケティングと題してお届けします。

顧客の瞬間を捉えるマーケティング

ZMOTとFMOT

2010年にGoogle社が発表した購買意思決定に関するマーケティングモデルにZMOTがあります。「Zero Moment of Truth」の頭文字を取ったもので、「ジーモット」と呼ばれます。

ZMOT

ZMOT 図

2004年、P&G社は『店舗でお客様は商品棚を見て、最初の3秒から7秒でどの商品を買うかを決めている。』という独自リサーチから、商品配置や陳列等が購入商品を選択する決定的な瞬間を左右する、「インストア」のマーケティングモデルをFMOT(First Moment of Truth)「エフモット」と名付けました。

しかし、現在では高速インターネットの普及とスマートフォン・タブレットに代表されるモバイルデバイスの普及により顧客自身が自らの意思で多くの情報が簡単に入手できるようになりました。 顧客は店舗に行く前に検索したり、レビュー等のクチコミ、SNS上の友人からのレコメンドから情報を入手し、事前に購入する商品を決定するようになっています。

商品・サービスを購入する際、事前に情報収集をする人は8割

商品・サービスを購入する際、事前に情報収集をする人は8割

http://research.nttcoms.com/database/data/001436/

ZMOTとは、こうしたインターネット上での情報収集によって、FMOTの前に実質的な購買意思決定の瞬間があるとした、マーケティングの概念です。

マイクロモーメント

もうひとつ、マイクロモーメントという概念があります。

出典:Google

4つのマイクロモーメント

スマートフォン、タブレットが普及し、高速回線でいつでもインターネットにアクセスできるようになる前は私たちはPCの前に座り(または分厚いノートPCを広げて)、遅いインターネットアクセス環境に耐えながら情報収集をしていました。 ところが、現在はどうでしょう?

朝起きたら、スマートフォンにすぐアクセスして、ニュース、天気予報のチェック、(目覚ましアプリで起きている方も多いのではないでしょうか?目覚まし時計ではなく)電車の中、会社での休憩時間、自宅ではソファやテレビを見ながらすぐに簡単に情報収集できるようになりました。

このような環境の変化から、ZMOTで説明していた私たちが商品を購入するまでの情報収集プロセスにも大きな変化が生じています。電車を待っているほんの数分の間でも、バスの中でも、ベッドに入ってからでも欲しいアイテムに関する情報をいつでも集めることが可能です。場合によっては、その場で購入することもすぐにできます。

Google社はこのような「人々が何かを欲した瞬間に行う、モバイルデバイスでの検索行動」を『マイクロモーメント』と名づけました。

マイクロモーメントの中でも、特に重要だと考える瞬間は4つあるとされています。

それは
I-want-to-know(知りたい)
I-want-to-go(行きたい)
I-want-to-do(したい)
I-want-to-buy(買いたい)
の4つのモーメントです。

4つのマイクロモーメント

I-want-to-know moments(知りたい)

何らかの意思決定をするために「新しい情報を得たい」と思う瞬間です。 テレビを見た瞬間、街頭広告を見た瞬間に「これについて知りたい」と思った経験のある方は多いでしょう。

I-want-to-go moments(行きたい)

行きたい場所を探している瞬間です。例えば「品川区 オイスターバー」と特定のお店を検索することもあれば、「新橋 薬局」など周辺情報を検索するのは、もはや特別な行動ではないでしょう。

I-want-to-do moments(したい)

何かしたいことがあり、それを実現するための方法を検索している瞬間です。 例えば、ある料理のレシピやことわざ、利用している製品が故障した時などが挙げられます。 辞書を調べるより前にスマートフォンで検索することが、もはや日常の習慣になっている人も多いでしょう。 このモーメントは、私たちが情報を受け入れやすい、受けとりたいと思っている瞬間であり、 企業にとってはオファーする大きなチャンスだと言えます。

I-want-to-buy moments(買いたい)

何かを買いたいと決意している瞬間です。 店頭で商品購入を決定する前に、スマートフォンで商品をチェックしている光景は家電量販店ではお馴染みの光景です。(家電量販店だけではないかもしれません) ショールーミング(店頭でチェックして購入はネットで)という言葉が数年前に話題になりましたが、今ではWebルーミング(Webでチェックして購入は実物を店頭で見てから)もWebデータ+POSデータから少なくないことが判明しています。

今、この瞬間に・・・

今後、さらに進むであろうスマートフォンに代表されるモバイルデバイスの進化と普及を考えると、「マイクロモーメント」という観点からマーケティングを考えることは重要だと思われます。

BtoBでも同様の事象が起きています。従来、企業担当者は自社の課題を解決するためのソリューションの情報を得るためには展示会、セミナー、営業から情報を入手するしか方法がありませんでした。 しかし、今ではインターネットやSNS、業界メルマガからかなりの情報を入手することができます。ある程度の情報は営業から説明を聞くまでもなく、電車の中や、机の上、会議室のPC、タブレットから簡単に知り、資料をダウンロードすることができるのです。営業が訪問する前に企業の担当者はすでに情報を入手し、下調べが済んでいる、そういう時代になってきているです。

これからのマーケティングは私たちの「WANT(〜したい)」を予測し、そのモーメント(瞬間瞬間)に対応する情報を用意し、見つけてもらいやすい導線を発見し、創り出し、見つけてもらうための手法の確立と施策をすぐに実行できる環境を整えることが重要なポイントとなりそうです。

次回は私たち消費者や企業担当者が求める瞬間(タイミング)に合わせるにはどうすればいいのかを考察していきたいと思います。